最後に行き着くところ セイコーミリタリー SNX431(前編)

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完成度の高い時計

概要

ブログ再始動、初のレビューはこの時計です。

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機械式ミリタリーウォッチの中で、一番好きなのです。
完成度が高く、文句をつけるところがほとんどありません。完璧な時計が必ずしも良いわけではなく、欠点さえも愛おしい場合もあるので時計というモノは奥深いのです。そうは言っても文句の少ない時計は使用頻度が上がり、道具として優れています。

この文字盤は、GG-W-113と呼ばれているミリタリーウォッチのオマージュです。正確には、MIL-SPEC-MIL-W-3818B-1962-GG-W-113 というアメリカが定めた規格名です。私は軍マニアではないのでニワカ知識ですが、主にベトナム戦争で使用された時計がオリジナルです。ハミルトンやベンラスなどが製造していました。

GG-W-113の文字盤デザインは、知的財産権で保護されているわけではないので、多くのメーカーがレプリカやアレンジ時計をつくっています。軍が追求するのは道具としての機能であり色気は皆無。そんな質実剛健なデザインに強く惹かれます。

海外専用モデルで、正規国内販売はありませんでしたから国内カタログにも掲載されていません。よって正確な販売期間は不明ですが、私が持っている個体とネット上に掲載された個体のシリアルナンバーから、1990年頃に発売され2010年くらいまで売られていたと想像します。私が高校生の頃、よくオートバイ雑誌の広告に掲載されていたことを思い出します。

実際に使ってみる

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この時計は、5盾マークもなくセイコー5と謳ってません。しかし7S26ムーブメントを使用した安価な時計で、セイコー5の機能(耐震装置・防水・日付・曜日付・自動巻き)を満たしています。よってオリジナルの GG-W-113 には存在しないカレンダー窓が付きます。カレンダーは無いほうが美しいと思いますが、適切でバランスの良い位置に配置されており、取ってつけた感はありません。7S26ムーブメントの適正ケースサイズでつくられているのです。

4時位置にあるリューズは小振りですがオーソドックスな形状。この時計には手巻きがついてませんから特に使いにくいことはありません。余談ですがカスタムして4R36(NH36)に換装すると手巻きはしにくいです。

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すでに絶版ですが、販売時の実売価格は10000円程度でした。コストはかけられませんから、簡易なつくりです。しかし部品の加工精度は高く、シャープでパリッとしているので、安っぽさはありません。もう少しだけ長針と秒針が長く目盛りに届いていれば最高なのですけどね。

SEIKOロゴはプリントでも良かった気がします。ミリタリーウォッチとしては華美な感じがしますし、光を反射しますから絶対に軍では採用されない仕様です。そう考えるとセイコー5として5盾マークが付かなくて本当に良かったと思います。

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このケースはラグ形状が秀逸です。スッキリと緩やかなカーブの王道デザイン。ジェラルド・ジェンタのCラインのような形で、本物のミリタリーウォッチにもよく使われた形ですけど、こんなに美しいラグはなかなかありません。日本の時計らしくラグ足が短いところも含めてお気に入りです。

ケース径35.4mmというサイズが、私の腕(腕周り165mm 日本人の平均)には絶妙なのです。最近のデカ厚時計に見慣れると少々物足らない感じもするかもしれませんが、腕の幅とのバランスはこのくらいがベストと考えます。シャツの袖口にも引っ掛かりません。

ミリタリーウォッチらしく、全面つや消しブラスト仕上げです。このケースはいつから使われているか分かりませんが、7S26搭載した最安価時計にしてはエッジが立っていて丁寧なつくりなのです。同年代のセイコー5のケースと比較しても突出して精密な感じがします。

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オリジナルのナイロンベルトは、織り方も独特で面白い。引き通しではなくセパレートなので時計が腕に密着するし、ベルト自体が柔らかいので付け心地が良いです。

尾錠もよく見ると凝ったつくりです。ケースと同じつや消しブラスト仕上げ。おそらくこのモデル専用のベルトです。最安価モデルにも専用ベルトがデザインされる良い時代でした。バブル景気真っ只中に企画設計された時計だからでしょうね。

小穴(ツク棒が入る穴)に補強革が当てられていますが、これは合成皮革で表面が剥がれやすいのが難点です。もうこのベルトも欠品ですから、大事に使いたいですね。

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ステンレスベルトモデルもあります。コマが大きく可動域も狭いので付け心地は並です。弓管・中コマは曲げ板ですが、外コマは無垢。全体に精度が高く、ブラスト仕上げなので、それなりの質感があります。セイコー5標準のシャラシャラ巻ベルトよりもコストがかけられてます。

ステンレスベルトにするとカジュアルな感じが薄くなるので、ビジネスでも使えると思います。私が会社で使うときはステンレスベルトです。

(上下写真の時計はカレンダーを日本語にカスタムしていますが、標準は英語/スペイン語です)

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もちろんNATOベルトも似合います。これが標準でも良いくらいにカッコいい。ラグ幅は18mmなので選択肢は無限です。色の組み合わせを考えて着せ替えするのも愉しいですよ。

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文字盤にはルミブライトが塗られているので、明かりを当てると蓄光して暗闇でも強く光ります。面積は小さいですけど時刻を読むには申し分ありません。


 

-----  諸元  -----

・ムーブメント
キャリバーNo. 7S26(21石)
機械式 自動巻き(手巻き・ハック無し)日付・曜日カレンダー

・外装
ステンレスケース つや消しブラスト仕上げ
 ステンレスネジ式裏蓋 7S26-3060
 ステンレス/ハードレックス シースルーネジ式裏蓋 7S26-00D0
ハードレックス風防(29φ)

・ベルト
ナイロンベルト
ステンレスベルト つや消しブラスト仕上げ

・サイズ
ケース径 35.4mm(リューズ含まず)
全長(ラグ端-端)41mm
厚さ 10.2mm(シースルー裏蓋 11.6mm)
ラグ幅 18mm

・重さ
本体のみ37g
ナイロンベルト 8g
合計 45g

・その他
日常生活用強化防水(5気圧)



長くなってきたので、今回はここまで。
次回は、カラーバリエーションや年代による仕様の違いを解説します。
乞うご期待。